
デジタルトランスフォーメーションを実現するにはさまざまな方法がありますが、なぜRPAがDXの推進において有用とされているのでしょうか?
ここでは、数ある手段の中でもRPAを導入すべきその理由について順を追って解説しましょう。
- DXの必要性
そもそもデジタルトランスフォーメーション(DX)とはどういった概念なのでしょうか。
経済産業省が発表した「DXガイドライン」の定義によると、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。
簡単にDXを言い表すと、「ITを活用して企業組織に変革を起こすこと」で、その目的は「企業の競争の上位性を確立するため」です。
デジタル技術を活用して新しい製品・サービスを展開する企業や新規参入者が次々と登場し、あらゆる分野で市場競争は日増しに激しくなっています。
こうした激化する市場競争で優位性を獲得するためにDXの推進が必要とされているのです。
このように、DXは本来、デジタル改革によって競争上の優位性を確立して新しい価値を生み出し、デジタルを活用して生産性の向上につなげる革新的な取組みです。
しかし、今日の日本においては「人手不足問題解決」や「2025年の崖」と呼ばれる約12兆円の経済的損失の解決手段としても注目されている状況にあります。
こうした課題の原因となっているのが「レガシーシステム」と呼ばれる複雑化・ブラックボックス化した基幹システムの存在です。
レガシーシステムのマネジメントは社外ベンダーのITエンジニアに委ねられている場合がほとんどで、レガシーシステムの技術承継が難しいと回答した企業は6割を超えています。
このため属人化したシステム保守・運営の技術はIT担当者の退職の時期を迎える2025年前後に喪失してしまう可能性があることが予見されています。
さらに、2020年にはWindows7のサポート終了、2025年にはERPのサポート終了もアナウンスされています。
そのため、旧来の基幹システムを維持し続けることはコスト面やセキュリティ面から非常にリスクが高く、早急なシステムの刷新が求められています。
- DX実現の切り札となるRPA
独自の課題を抱えている日本におけるDXですが、今回ご紹介しているRPAはDX推進の第一歩となることや、業務の中核を担うシステムであるということが徐々に認知されはじめています。
RPAは人よりも約3倍速く業務を自動処理することができ、人の手よりもはるかに正確にデータを作成することできるため、DX推進は飛躍的に効率化します。
DXはいくつかの段階を踏んで実行されます。
RPAは、その初期段階における「デジタル化による業務強化と業務自動化」の領域をカバーすることが可能です。
DXの推進のベースとなる「業務自動化の段階」で絶大な効果を発揮するRPAですが、DXの最初期段階の既存ビジネス資源である書類のデータベース化業務においても、DX推進の第一歩として活躍します。
また、RPAの導入・運用は多くの人的リソースが単純作業から離れることを意味しており、DXの本領である「競争上の優位性確立と新しい価値の創出」にシフトできるということです。
DX実現の切り札とも言えるRPAですが、数あるRPAの中からどういった機能を持ったものが良いのでしょうか。
RPAに求める性能としては、「IT技術が必要なく現場で作成・運用できる」ものであることが重要です。
社内でRPAのルールを簡単に定義・作成できることは、レガシーシステムのようにブラックボックス化することを回避し、システムを自社の手でマネジメントすることにつながります。
また、DX推進に合わせてさまざまなアプリケーションに対応できる性能を持っていることも重要なポイントです。