
日本でデジタルトランスフォーメーション(DX)は定着しづらい?
日本の経営者やビジネスマンは、保守的で古い考えの人が多いといわれており、保守的なままでいるリスクを理解していながらも、あえて挑戦をしようとする人が少ないとされています。
また、日本企業は組織の中で個人の役割や責務がはっきりと決まっていることが多いため、そこから外れたことに関しては自身の領域外で触ることができない、ということが多いことも一因のようです。
これだと、自分の役割の範囲内でしか動かなくなり、それ以外の部分は自分の関与するところではないという意識が根付いてしまいます。
その意識を変えることがデジタルトランスフォーメーションにつながるともいえるのですが、国民性の問題であるため、なかなか解決が難しいことが実情のようです。
さらに、既存のシステムを刷新するためには中長期的な計画と、企業規模にもよりますが数百億円規模の予算が必要となります。
安定した経営で、経営者が10年単位でしか変わらない場合、経営者の思い切りによって予算を組むこともできますが、中長期的な視点でシステムを刷新するための予算を組む、経営判断を行うことは難しいといえるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためには
「デジタルトランスフォーメーションの実現」は、デジタルを駆使して新規事業を作ることに限りません。
デジタルトランスフォーメーションの実現とは、すなわち「ビジネス環境の変化に即応するために、事実であるデータに基づいて短期的・戦術的施策と長期的・戦略的施策の最適化を継続的に実行できる事業基盤」を実現することにあります。
ここでは、デジタルトランスフォーメーションを行う際にどのように着手すべきかについて解説していきます。
- 実現可能範囲から始める
デジタルトランスフォーメーションは「システムを開発するにあたっての問題を改善していくこと」と捉えられることがありますが、実際は「テクノロジーを前提として、ビジネスモデルを変えていくこと」です。
システム開発の仕方を変えていくことも必要ではありますが、変える必要があるのはシステムだけではありません。
企業において、既存のやり方やシステムはその企業が今まで培ってきたものであり、また重要なものでもあるため、一気に全てを変えることは難しいでしょう。
そのため、まずはできる範囲での改善を重ねていき、少しずつ変えていくことが重要です。
- 経営と現場の意思疎通
経営陣ばかりが焦ってデジタルトランスフォーメーションを実行しようとしても、実際にシステムなどを運用していくのは現場にいる社員たちです。
そのため、経営陣の意識の切り替えはもちろん、現場の社員たちに意識を切り替えてもらうことが重要になります。
現場には経営陣には把握しきれない現場の事情があることも多く、経営陣と現場の意識のすり合わせを慎重に行っていくことが重要です。
現場側も、まずは経営陣にきちんと現状を説明し、理解してもらうという取り組みを行う必要があります。
また、経営者1人が全ての意思決定を行うという「ワンマン経営」でうまくいっている企業もありますが、デジタルトランスフォーメーションを進めていく場合は、現場のスタッフと経営陣とが相談して決めていく方が確実に有効でしょう。