
ロボットによって業務を自動化できるRPAですが、その業務に向き不向きもあります。例えば、RPAに向いている業務は以下の通りです。
・決められた手順で繰り返し行う単純作業(データ入力や自動メールの配信など)
・複数アプリケーション間での同時処理(定型文書のデータの登録・転記など)
・データ収集、集計、加工(抽出したデータの加工、定型レポートの自動作成など)
・問い合わせ対応(チャットBOTによるカスタマーサポート)
一方、RPAに不向きな業務も存在します。例えば、以下のような業務です。
・急な仕様変更が生じる業務(業務の変更自体は可能なものの、RPAにルールを組み込み直す必要が生じる)
・紙媒体のデータ認識(OCR:光学的文字認識とRPAを組み合わせれば実施可能)
・手書き文字・画像の認識(形が似ている漢字の読み取りも不得意)
・Windows以外のパソコンでの処理(MacやUNIXに対応しているのは少数)
RPAの向き不向きの特徴を踏まえたうえで、ここでは、RPAを活用できる業務例を4点ご紹介します。
- 各案件の情報入力
ある大手リース会社は、生産性改善と残業時間削減を目的としてRPAを案件管理に活用しました。
この会社の融資部門の案件管理は、入力情報が複数段階に分かれており、入力項目が多く、入力時期が集中しているのが特徴です。
社員の負担も大きく、人の手で作業することによって入力ミスのリスクもありました。
そこで、RPAを活用したことによって、案件管理システムへの情報入力の自動化が可能になりました。
RPAが入力業務を8割担い、残りの2割を担当者に割り当てたのです。
社員の負担が減ったことはもちろん、入力時間に割いていた時間を案件獲得のための活動に充てることができるようになりました。
- 書類の転記作業
書類の転記作業は、RPAの得意な業務です。
RPAによる転記作業の自動化は、リース会社や不動産会社、食品メーカー、システムインテグレーターなど、規模・業種を問わず採用されています。
各企業のRPAを活用した事例を、以下で簡単にご紹介します。
・リース会社:契約書からエクセルのサマリーシートへ案件ごとに情報を転記する作業
・不動産会社:経理精算や取引先への支払い依頼をする申請システムの申請内容の確認作業とデータの受け渡し業務、メールの申請内容をエクセルへ転記する作業
・食品メーカー:約100社の卸会社からエクセルで送付される販売報告情報のエクセルへの転記作業
・システムインテグレーター:エクセル表を基に、案件情報や契約情報、アサイメント情報などをシステムごとに転記する作業
- 入金・請求業務
RPAは、必要に応じて督促を行わなければならない「入金管理業務」には不向きです。
しかし、特定の目的に合わせて設計された「特化型AI」をRPAと組み合わせれば解決できます。RPAと特化型AIを組み合わせることによって、振込人名義や金額のズレなどを加味したうえで、非常に高い照合率を発揮するからです。
実際に、大手フィナンシャルグループや大手証券会社は、特化型AI、OCR、RPAを組み合わせたシステムを導入しています。
RPAが不得意とする手書きの帳票や非定型型帳簿を読み込み、文字情報をデータ化し、銀行の口座データと照合して正否確認も可能です。
その結果として、手作業による事務処理を8割削減することに成功しています。
- アンケート集計
市場調査や商品企画にも、RPAは活用されています。
例えば、モニターが回答したアンケート集計業務があげられます。
RPAは手書き文字の認識が不向きであるため、OCRと組み合わせて活用すると効果的です。
OCRと組み合わせれば、アンケート用紙のデータをExcelのフォーマットにまとめることができ、読み取ったアンケート用紙のデータを所定のフォルダに自動的に保存することもできます。
さらに、RPAは口コミ収集の自動化にも活用されています。
RPAによる口コミ収集では、まずロボットが口コミサイトやネットショップのレビュー、SNSなどに書き込まれた自社商品の口コミを検索します。
そして、収集した口コミをExcelのフォーマットにまとめて所定のファルダに自動保存する、という流れです。
手作業で行うと多くの時間を要しますが、RPAを活用することでその業務時間を削減することができます。