
RPAの導入に失敗しないためには、当然、目的の明確化から定着化までのプロセスが重要です。
しかし、それだけおさえていれば成功するとも限りません。
順調に進めていたはずなのに、結果的に上手くいかなかったという事態は起こり得ます。
導入を成功させた企業はどのように成功を収めたのでしょうか?
事例①
業歴も長く、情報システムの保守や運用業務が主な事業であるA社。
アナログな作業による業務の負担を課題としていました。
「決められたことを決められた手順で行う」という長年にわたる慣習があり、業務効率と品質向上の妨げになっていたそうです。
【具体的な障害】
・業務に必要以上の時間を要する
・手作業によるミスに対する従業員の心理的な不安を生じさせる
A社のRPA導入目的は、長年凝り固まっていた運用業務の改善と自動化、ミスの削減、業務品質の向上です。
しかし、RPAの選定においてプログラミングなどの技術的な不安があったため、現場メンバーが使用でき、ベンダーのサポートが無償であることから導入に至りました。
A社はRPA導入までに業務の優先順位をつける、パイロット版の開発、社員教育、複数のシナリオ作成など必要なプロセスを着実に踏むことができたそうです。
その結果、従来は年間2,350時間を要した作業を、700時間で終えられるようになりました。
さらに、アナログ作業により生じていたミスに対する社員のプレッシャーも減少しています。
着実なRPA導入によって、品質向上や業務負担軽減を実現しました。
自社で全ての工程を行おうとせずに必要に応じてサポートを利用し、簡略化しすぎずプロセスを踏むということが重要だとわかります。
事例②
製造業者であるB社の業務における課題
・作業時間と業務量が膨大である
・定型的な作業による従業員のモチベーションの低下
・複数のシステムへのアクセスが必要
B社は、定型業務を自動化することで従業員のモチベーションを向上させ、契約業務のリソースを増強して売上に貢献するために、RPAの導入を検討しました。
RPAを導入後は、業務の自動化によって大幅な生産性の向上と、全量検査による精度向上が実現しました。
生産ラインは自動化して、検査工程では人の目視による外観検査をして抜き取り検査を行うことで品質を維持しているそうです。
また、状況確認については、これまではメールで問い合わせを受けて、請求や支払情報を把握するためにワークフローとERP(企業の持つ資金や人材、設備、資材、情報など様々な資源を統合的に管理・配分し、業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法)を操作する必要がありました。
しかし、問い合わせにチャットボット(「チャット」+「ボット」を掛け合わせた造語。「チャット」は、主にインターネットを介してユーザー同士がリアルタイムで会話をすることで、『LINE』や『Chatwork』など。一方、「ボット」とは「ロボット」の略語。何度も繰り返す同じ処理をプログラムにして、自動化したシステムを指す。)を介し、RPAツールによって両方のシステムを自動操作して必要な情報を取得することで、問い合わせ業務全体を自動化することを実現しています。
この事例からは、RPAに依存するのではなく人とロボットが共存する、RPAを含む複数のツールを組み合わせて業務の自動化を図るということが重要だとわかります。